加藤鷹『秘儀伝授』レビュー

秘技伝授 (Oh!BOOK)

・100字レビュー

AV女優は演技によって気持ちの良いふりをしていたりするが、マニアはそれが嘘か本物か分かってしまう。でも加藤鷹のゴールドフィンガーによって潮を吹く様は、視覚的人間にダイレクトなエクスタシーを感じさせる。

・長文レビュー（400字）

AV男優はセックスをするのが仕事とはいえ挿入さえしていればいいわけではなく、ペッティングのテクニックを駆使して女優をイカせなくてはならない。演技によって気持ちの良いふりをしていたりするものだが、マニアはそれが嘘か本物か分かってしまう。そのせいもあって本番や本汁であることを示すためモザイクを薄くしてきたのである。それとて本当であるとは言い切れないが、しかし加藤鷹のゴールドフィンガーによって潮を吹く様は、視覚的人間にダイレクトなエクスタシーを感じさせる。実はテクニックさえあれば誰でも潮を吹かせられることが本書を読めばわかる。だから潮吹きと官能の加減は本来なら無関係のはずだが、自分が潮を吹いてしまっていることに対する女優の羞恥心が、男優やユーザの嗜虐心を増幅させることによって、結果的に大きな性的興奮を導き出しているだろうことは確かで、そういう工夫がカップルのマンネリを防ぐ効果もあるかもしれない。

※批評誌『新文学０４　現代文化のセクシュアリティ／原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
松平耕一編（主催者ブログ：文芸空間）
価格　：￥1,050
単行本：A5版、256ページ
出版社：文芸空間社（バックナンバー通販：文芸空間社購買部　）
発売日：2011/12/31
ネット通販：とらのあなWebSite
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