小山ゆう『あずみ』全48巻と続編『AZUMI』レビュー

あずみ (1) (ビッグコミックス)

あずみ (1) (ビッグコミックス)

捨て子少女「あずみ」は、爺に拾われ他の子と共に隠れ里で育てられた。野山を駆け巡りチャンバラごっこをして、強靭な肉体と武芸を身に付けた。思春期を迎えようとする頃、一番好きな仲間と対になるよう指示される。それは刺客として殺人マシーンになるため、好きな者同士が殺し合わなければならない残酷な最終試験だった。自分を育ててくれた爺には逆らえず、あずみは泣く泣く仲間を切り捨てる。更に顔を知られていた村人も全て殺す。生き残った仲間と共に刺客として活躍するが、その仲間も戦で次々と死んでゆく。ついには「あずみ」一人で家康を討ち、追手からの逃避行が始まる。あずみは白人とのハーフ。その青い目と白い肌に魅了される男は後を絶たないが、皆あずみに殺されてゆく。恋に落ちることもあったが処女である。48巻で一旦は完結するも、戦国時代から幕末に設定を変え再開。主人公はあずみだが時代が違う。タイムスリップか、歳をとらぬのか、子孫なのか。役目を果たせなかった大量の精子は死ぬ。そして卵子も月に一度死ぬ。聖処女あずみは役目を終え、別のAZUMIがまた男を殺す。細胞が生まれ変わるように登場人物を入れ替えながら続くのは、歴史も同じだ。(400字)

※批評誌『新文学03 革命×ネット×二十一世紀文化のエグいコンテンツ』寄稿レビューと同じです。

松平耕一編(主催者ブログ:文芸空間
価格 ¥800
単行本:A5版、230ページ
出版社:文芸空間社(バックナンバー通販:文芸空間社購買部 )
発売日:2010/12/05
ネット通販:とらのあなWebSite
店舗販売:新宿 模索舎、中野タコシェほか