ATLUS『真・女神転生III−NOCTURNE』レビュー

真・女神転生III-NOCTURNE (通常版)

真・女神転生III-NOCTURNE (通常版)

ゲーム機の高性能化に伴いソフト開発費も莫大となり海外売上も意識されることが多い中、宗教色の強いメガテンは海外発売が難しく続編はないと思われていて、思春期に自身の宗教観にまで影響を与えられた僕は本作登場に狂喜した。本シリーズは選択肢に応じてカオス=悪魔/ニュートラル=人間/ロウ=天使のルートがあるマルチエンディング方式のRPG。一作目は少年ハッカーが悪魔召喚プログラムを見つける西谷史の小説が原作。西谷は占術ソフトのプログラマーでもある。二作目からの「魔界化した東京」を舞台とする路線は、永井豪『バイオレンス・ジャック』や菊地秀行魔界都市<新宿>』に連なる。悪魔をスカウトできるシステムはドラクエにも踏襲された。シリーズ初のPS2ソフトということで画質や音質などが一新されたものの、世界観は過去作と共通。有名科学者らによる宗教批判を良く耳にするが、本作はカオス/ニュートラル/ロウどの道にも懐疑的なのがエグい。(400字)

※批評誌『新文学03 革命×ネット×二十一世紀文化のエグいコンテンツ』掲載レビューと同じです。
松平耕一編(主催者ブログ:文芸空間
価格 ¥800
単行本:A5版、230ページ
出版社:文芸空間社(バックナンバー通販:文芸空間社購買部 )
発売日:2010/12/05
ネット通販:とらのあなWebSite
店舗販売:新宿 模索舎、中野タコシェほか