映画『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』レビュー

・監督：石岡正人、角川書店、二〇一一年

YOYOCHU　SEXと代々木忠の世界　2枚組特別版 [DVD]

六〇年代からピンク映画に携わり八一年にアテナ映像を設立して以来、三十年に渡り活躍したAV監督・代々木忠の半生を振り返るドキュメンタリー映画。若い頃に小指を詰めていたりする強面だがファンや男優はともかく破廉恥な姿態を晒された女優まで心酔するのを奇妙に思う人もいるだろうか。何よりその道一筋で長年やってきた経験によって培われてきた人生哲学が周囲の人々を惹きつけてやまないのだ。観てさえいれば撮れるわけではない。とにかく撮って売ってきた実績こそが代々忠の人気を支えてきた。特に昔の作品にはAVである以前に他の媒体が見過ごしてきた時代の側面を封じた資料価値的さえあって、一大産業を築き上げた立役者が勢ぞろいするこの映画自体もそれに類するものである。催眠やチャネリング（霊媒のようなもの）を導入したことでも知られるように、AVは低俗な娯楽というよりむしろ意味の呪縛から逃れ身体性の復権を促す運動体の異名なのだ。（400字）

※批評誌『新文学０４　現代文化のセクシュアリティ／原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
松平耕一編（主催者ブログ：文芸空間）
価格　：￥1,050
単行本：A5版、256ページ
出版社：文芸空間社（バックナンバー通販：文芸空間社購買部　）
発売日：2011/12/31
ネット通販：とらのあなWebSite
店舗販売：新宿 模索舎／阿佐ヶ谷 古書コンコ堂／ジュンク堂書店 大阪本店／全国 とらのあな
2012/5/5「COMITIA100」委託販売予定「スペースNo未定」駕籠真太郎先生の公式HP【印度で乱数】原画通販も。