映画『アンチクライスト』レビュー

・監督:ラース・フォン・トリアーキングレコード、二〇〇九年

アンチクライスト [DVD]

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シャルロット・ゲンズブール渾身の体当たり演技が話題になったが、ミドルティーンの頃におっぱい見せたどころの話じゃなく全裸で性器ピアスまで晒している。のっけから無修正の結合シーンは流石に吹き替えかもしれないが、指まで入れて喘ぐオナニーシーンに至っては完全にポルノ女優のようでもある。とはいえもちろんポルノ映画ではなく、セックスに夢中で目を離した隙に息子がベランダから落ちて亡くなり、その罪悪感が夫婦を狂わせてしまう悲しい物語だ。それでも性欲から逃れられない憤りから夫のチンコに穴を開けたり妻のクリトリスを切除したりするのも無修正。そこに興奮するマニアもいるだろうけれど基本的にはホラー映画である。無修正の局部が傷つけられる映画といえば、七六年にフランス合作映画として制作された、切断した男根を持ち去った阿部定事件がテーマの大島渚監督『愛のコリーダ』もそうだった。芸術と猥褻の線引きは今もって難しい問題だ。(400字)

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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