ネット小説『互いの傷をなめあうように研ナオコとファックしたい』レビュー

・作:罧原堤、2ch文章アリの穴、二〇〇四年
http://fushihara.seesaa.net/article/219936829.html

「なぜ研ナオコなのか?」と疑問に感じた時点で既にツカミはOKであり、その理由についてはあえて説明しないが、題名のインパクトでは『人のセックスを笑うな』を軽く凌駕している。それどころか作者は、プロデビューなんて凡庸な障壁を軽々と跳び越えて、二〇一一年八月一二日に他界デビューしてしまった。東日本大震災の三月十一日が彼の誕生日だったことにも考えさせられる。誰かの記念日かもしれない特定の日付が忌まわしい日として語られていいのか、米国テロの九月十一日が秋篠宮紀子様の誕生日と知った時にも思った。コンビニ店員に片想いする非モテワープア青年・恭一の自己嫌悪や被害妄想の心理描写で埋め尽くされた時代象徴的な今作が、死後に評価されることが彼にとって良いことかどうか分からないが、読んでしまったからには研ナオコを見るたび彼を思い出すことになり、観念して読み続けるしかないのだ。まさしく互いの傷をなめあうようにして!(400字)※後日追記「2ch文章アリの穴」が閉鎖されたため、リンク先を「罧原堤 作品集」に変更しました。

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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