ミリオン出版『実話ナックルズ』レビュー

はてなキーワードでは「日本一くだらない雑誌。(誉め言葉)」と称される『GON!』の後継誌として創刊され、増刊も含め多くのグループ誌がある。アウトローネタやゴシップ記事の他、怪奇現象や都市伝説なども扱う。『漫画実話ナックルズ』では新人漫画家だけでなくホラーやエロの大家が描いていることも。09年ファンに刺殺された電波系鬼畜ライター村崎百郎も寄稿していた。彼と高校の1年後輩だった京極夏彦百鬼夜行シリーズに登場する売れない小説家・関口巽はカストリ誌の記事執筆で糊口を凌いでいる設定だが、ナックルズもまたカストリ誌の系譜に連なる。今は亡き『噂の眞相』やウェブサイト「リアルライブ」として残る『内外タイムス』にしぶとく続く『日刊ゲンダイ』や『サイゾー』。そこに渦巻くエグさ加減は、権力に対峙するジャーナリズムの本質。出版不況と言われる中、コンビニで容易に入手できるのもエグい。こういう文化は今後も続いてほしい。(400字)

※後日追記:初出では月刊誌『ダ・ヴィンチ』の「京極夏彦特集」を参照して「村崎百郎と高校の同級生だった京極夏彦」と記載しましたが、本稿執筆後に出版された『村崎百郎の本』(アスペクト、2010/11/25)にて1学年違うことが分かり、当該個所を修正しました。

※批評誌『新文学03 革命×ネット×二十一世紀文化のエグいコンテンツ』掲載レビューを一部修正。

松平耕一編(主催者ブログ:文芸空間
価格 ¥800
単行本:A5版、230ページ
出版社:文芸空間社(バックナンバー通販:文芸空間社購買部 )
発売日:2010/12/05
ネット通販:とらのあなWebSite
店舗販売:新宿 模索舎、中野タコシェほか