東村アキコ『ひまわりっ 〜健一レジェンド〜』全13巻レビュー

ひまわりっ ~健一レジェンド~(1) (モーニング KC)

・100字レビュー

少女漫画『きせかえユカちゃん』オマケ漫画の父親の変人さが目に止まり青年誌で連載。『まんが道』的要素や『お父さんは心配性』に似ている所も。アニメ化された『海月姫』は本作後半の腐女子ネタを発展させたもの。

・長文レビュー（400字）

作者初の長期連載少女漫画『きせかえユカちゃん』の巻末に、父親の変人ぶりをネタにして描いたおまけ漫画が編集者の目に止まり、それが青年誌で連載されることになった今作は、美大卒業後に漫画家として人気が出るまでの自伝的作品のため女性版『まんが道』的な要素も強いが、一応主役は父親。岡田あ〜みん『お父さんは心配性』に似ている所もあるが、父と主人公の好きな男は共に「健一」という名前で二人ともどこか似ている。よく「娘は父親似で息子は母親似が幸せになれる」というが、作者にもその自覚がある。男から見て女は不思議な存在だが、女から見ても男は不思議な存在だと気付かされる。テレビアニメ化もされた『海月姫（くらげひめ）』（講談社Kissコミックス）の腐女子が活躍する設定は、本作の後半に増えた腐女子エピソードを発展させたもの。少女漫画誌でデビューした作者が、青年誌を経て少女漫画へ出戻ったからこそ開拓できた新境地だろう。

※批評誌『新文学０４　現代文化のセクシュアリティ／原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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