久米田康治『さよなら絶望先生』既刊28集レビュー

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

・100字レビュー

絶望先生こと糸色望(いとしき・のぞむ)は社会に失望しては自殺しようとするが、女生徒達のお節介や暴行によって生き延びる。さよなら絶望=こんにちは希望と考えれば、実はポジティブな作品と解釈できなくもない。

・長文レビュー(400字)

絶望先生こと糸色望(いとしき・のぞむ)は、作家志望だが文才のない高校教師。天邪鬼な気質により巷間の流行や常識の下らなさに失望しては自殺しようとするが、個性の豊かすぎる女生徒達のお節介や付き纏いや暴行などによって何とか生き延びる。東日本大震災の翌月に出た25巻で作者は、題名からして不謹慎な作品のため今後どうすればいいのかと悩んでいたが、さよなら絶望=こんにちは希望と考えれば、実はポジティブな作品と解釈できなくもない。実際のところ彼は何だかんだいって生き続けているし、あらかじめ希望を持たぬことには絶望することすらできないのである。やはり捻くれ者で「孤高ならぬ孤低」という造語を作った太宰治同様に望の実家は大富豪で、太宰のように心中したい相手を「心中簿(ですのうと)」に書きつけている。一度限りの契りを交わす心中は、移ろい易い浮世の儚き絆なればこそ、古今東西ロマンチストを惹き付けて止まないのだろう。

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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