桂正和『I"s<アイズ>完全版』全12巻レビュー

・100字レビュー

ウイングマン』や『電影少女』はヒーローSFだったが、本作は普通に痛々しい恋愛漫画。思春期の恥ずかしい内面描写が壮絶だが、性表現に後ろめたさを持ち今は徹底したヒーローもの『ZETMAN』を描いている。

・長文レビュー(400字)

ヒーローSF漫画『ウイングマン』で人気を博して以降しばらく『ヴァンダー』など同路線の作品を発表するも長く続かなかった。そして美少女の表現に定評があった作者ならではの恋愛SF漫画『電影少女』が久々にヒット。AVから飛び出してきて男を慰めてくれる「電影少女」だが、主人公の元にきたアイは不良品だったためスクラップされそうになる。それを阻止すべく闘う展開にはヒーロー要素もあったが、続けて描かれた本作はSFもヒーローも出てこない普通の、そしてそれゆえに痛々しい高校生同士の恋愛漫画である。作者の体験が反映されているとしか思えない思春期の恥ずかしすぎる内面描写が壮絶だが、もともと性表現に後ろめたさを持つ作者ゆえ、今は徹底したヒーローもの『ZETMAN』を描いている。なお、本作のヒロインはタレントの卵だったりもしていて、作者がファンだった酒井法子は画風にも影響を及ぼしたが、彼女の逮捕をどう感じただろうか。

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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