橋本秀雄『男でも女でもない性――インターセックス(半陰陽)を生きる 完全版』レビュー

男でも女でもない性・完全版―インターセックス(半陰陽)を生きる

男でも女でもない性・完全版―インターセックス(半陰陽)を生きる

・100字レビュー

もともと性差のない半陰陽者は一万人に一人は存在するというが、分かりにくいケースも含めれば未知数である。性交もしくは子を為していないのであれば自分だってそうかもしれないのだから、他人事とは言い切れない。

・長文レビュー(400字)

性差の境界線を生きる「インターセックス」と聞けば、心と体の性別が一致しない「性同一性障害」を思い浮かべがちだが、もともと性差のない「半陰陽」の人もいる。「両性具有」ともいうが性器が両方ともある「真正半陰陽」の場合でも生殖能力は備わっていなかったりして、単為生殖できるわけではない。そのうちの一人である著者は戸籍上男性だが、両性を揺れ動きながら青春期を送った。成人してから男性との性交を経て女性性に目覚めるも、親が自分に男性化のホルモン治療をさせていたことを知りショックを受ける。幼少期に性器を切除された者もいると聞き、テレビ出演などを通じて半陰陽者の自己決定権を求めるアクティビストとして活躍してきた。半陰陽者は一万人に一人は存在するというが、分かりにくいケースも含めれば未知数である。性交もしくは子を為していないのであれば自分だってそうかもしれないのだから、簡単に他人事とは言い切れない問題である。

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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