撮影:高橋聖人、構成:茅島奈緒深『ジロジロみないで 〜”普通の顔”を失った9人の物語〜』レビュー

ジロジロ見ないで―“普通の顔”を喪った9人の物語

ジロジロ見ないで―“普通の顔”を喪った9人の物語

・100字レビュー

腫瘍やアザ、火傷などによって「ユニーク・フェイス」を背負ってきた男女が実名顔出しで語る。収入も安定している彼らが既婚者でないことに考えさせられる。普通の人間として愛されたい気持ちは何より普通のことだ。

・長文レビュー(400字)

先天性の腫瘍やアザ、事故による火傷などによって「ユニーク・フェイス」を背負いながら生きてきた九人の男女が、実名顔出しで各々の人生を語る。仮面ライダー2号を演じた佐々木剛さんは大火傷を負ったものの皮膚移植を繰り返し元の顔に近づいたが、社会や医者への不信などから手術を拒む者も。最年少の二八歳で全身無毛症の阿部沙織さんは著書もある有名人で恋人もいたが、本書の出る直前に命を絶った。理由は定かではない。少子化の要因は不景気だと言われているが、二〇代後半から五〇代で大企業の正社員や大学教授など収入も安定している彼らが既婚者でないことに考えさせられる。障害者を見世物にする文化は世界中にあって、二十世紀初頭のパリ博覧会などが有名だが、そういう者と性交するのが好きなマニアの性奴隷にされたケースもある。目立つという意味では美男美女だって同じだが、普通の人間として愛されたいと思う気持ちは何より普通のことである。

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
松平耕一編(主催者ブログ:文芸空間
価格 :¥1,050
単行本:A5版、256ページ
出版社:文芸空間社(バックナンバー通販:文芸空間社購買部 )
発売日:2011/12/31
ネット通販:とらのあなWebSite
店舗販売:新宿 模索舎/阿佐ヶ谷 古書コンコ堂/ジュンク堂書店 大阪本店/全国 とらのあな
2012/5/5「COMITIA100」委託販売予定「スペースNo未定」駕籠真太郎先生の公式HP【印度で乱数】原画通販も。