速水健朗『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』レビュー

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

・100字レビュー

ケータイ小説は東京では殆ど売れておらず、郊外のファスト風土によって育まれたと考察。ゼロ年代批評のマジョリティ「都市・オタク・少年」から疎外されてきた「郊外・ヤンキー・少女」に目を向けるべきと提案する。

・長文レビュー(400字)

ゼロ年代に突如として現れ一世を風靡したケータイ小説群の強みは既存の小説と読者層が被っていなかったことらしい。主な読者はそれまで活字本には見向きもしなかったヤンキー層だったのである。著者はその背景に浜崎あゆみの歌詞や雑誌『ティーンズロード』や『NANA』『ホットロード』などの少女漫画に見受けられる「疑似レイプ体験」があるという。「ケータイ小説」というより帯文にもある「ケータイ依存」や「ヤンキー文化」を解き明かす点にこそ本書の特性がある。既存のエンタメ小説が特に東京で売れているのに対し、ケータイ小説は東京では殆ど売れていない。しかし東京以外ではエンタメ小説と同じように売れていることから、ケータイ小説は郊外のファスト風土によって育まれてきたと考察。ゼロ年代批評のマジョリティと化した「都市・オタク・少年」から疎外されてきた被差別文化としての「郊外・ヤンキー・少女」にもっと目を向けるべきと提案する。

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
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