鬼頭莫宏『ぼくらの』全11巻レビュー

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)

洞窟に住む男・ココペリに誘われ、巨大ロボで地球を救うゲームに誘われた一五人の少年少女。敵を倒した後、ココペリは姿を消す。二回の戦闘を経て二人の少年が死んだ後、コエムシと名乗る不思議な生物はロボットの動力が操縦者の命であることを明かす。仲間の少女はロボットを「ジ・アース(地球)」と名づける。自分を守れば世界が滅び、世界を守れば自分が死ぬ。どちらにしても自分は死ぬから世界と心中するか否かの違いだけである。彼らは迷いながらも闘って死ぬ道を選ぶ。極限状態におかれた子供たちを描く手法はジョージ秋山が七十年代に好んだ主題で、今作の元ネタは『ザ・ムーン』。子供が巨大ロボを操縦する点や子供たちを導く糞虫の名がコエムシに似ている。アニメが先に終わったこともあり漫画とはラストが違う。全員が助かるラストもありえただろうか。そうとでも考えなくてはエグすぎる。大人の大義のために子供が犠牲になる構造は絵空事ではない。(400字)

※批評誌『新文学03 革命×ネット×二十一世紀文化のエグいコンテンツ』寄稿レビューと同じです。

松平耕一編(主催者ブログ:文芸空間
価格 ¥800
単行本:A5版、230ページ
出版社:文芸空間社(バックナンバー通販:文芸空間社購買部 )
発売日:2010/12/05
ネット通販:とらのあなWebSite
店舗販売:新宿 模索舎、中野タコシェほか