【GEISAI#12レビュー:E-021〜E-030】

E-021【Ime
謎の生物たち。母子らしき者や、泣いている者。雨のしずくを思わせる筆致が、観る者を慰める。

E-022【太田由美】
毒々しくとも官能的な水中花に群がる、かわいい人面魚たち。死を操るがゆえ生を司る、悪の華。誰もが一度は魅入られてしまう。

E-023【木塚ゆうき】
都会で暮らす、積み木のような女の子。触ればすぐに壊れてしまうのだけれど、いつの間にか別の形で何事もなかったかのよう。不安定な都市の情景。

E-024【こうぶんこうぞう】
すくすく育つ子供の感性を、伸びやかに描く。どんなに薄汚れた世界であろうとも、子供の笑顔には希望が湛えられている。

E-025【伊藤真以子】
肉食のネコと草食のキリンが共存する。カラフルな気球で運ばれた種子が芽吹く。陽だまりの温もりに感謝したくなる、地球の日曜日。

E-026【三杉レンジ】
外出先で使える「移動式ひきこもりハウス」。純粋培養された子供の自我が、世界を挑発する。目を背けて引きこもっているのは、そっちのほうなんじゃないかと。

E-027【川井絵理子】
今、そこにある「キモカワ」。儚く愛しい、この世の悲哀。

E-028【諸永光】
単なるゴミだらけの庭ではない。それは一人のニンゲンが生きた証。T氏の肖像画、好きだったタバコ、使い古された愛用のペン。「知っている人かもしれない」とも思ったが、多分それは気のせい。

E-029【Charatoons/カーナ】
楽天的なリゾート。ネガティブな要素は微塵もない。一度きりの人生を軽やかにやり過ごす、たったひとつの冴えたやり方。

E-030【有園正俊】
ふとした瞬間に普通の日常が幻想的な異空間に変貌を遂げる。何気ない出来事にさえも感動せざるをえない、魔法の一瞬。