【GEISAI#12レビュー:E-011〜E-020】

E-011【タヤマ ヒロアキ
ノイズィーな色調の、暗いカタマリ。ギザギザの線にロックを感じる。あくまでオトナ、その実コドモ。そんな「男の夢」。

E-012【松本弘二郎】
しりあがり寿みたいなギャグ漫画的ゆるキャラが、混沌の渦の中でひしめきあう。その表情は皆一様に笑っているが、決して楽しいというわけではなく。恐れ・怒り・悲しみといった感情のカオスを処理できずに「もう笑うしかない」という、呆けた諦め。芥川賞作家・吉村萬壱のデビュー作『クチュクチュバーン』に描かれた類の地獄絵図なのだろう。

E-013【加藤ゆかり】
壷に湛えられたオレンジ色の液体は、3枚いずれの絵にも描かれている。無邪気に遊ぶ子供たち、誰もいない空間、禍々しい表情をした大人たち。背景が変われば、意味合いも変わる。おいしいスープ? マグマの噴火口? 人を殺める毒薬? 本当は同じものなのに。

E-014【山本慎一郎】
狂った世界に浮かぶ、写実的な「ニンゲンの眼」そして「ヒトの貌」。私たちが観ているのか、それとも視られているのか。

E-015【原康浩】
みやびやかな和柄を用いて表現されるのは、無骨きわまりないジャンク・テイスト。伝統とテクノロジーがせめぎあう現代日本の見慣れた風景が、ここにもある。

E-016【相澤なほ】
自然は残酷で、だからこそ優しい。ゴシックとメルヘンが調和できる理由は、そういうカラクリ。

E-017【SARA】
青春ラブコメ漫画から飛び出してきたかのような男女と、神話的キャラクター。ジャパニメーションの粋が結集している。

E-018【木浦奈津子/炭田紗季】
①マットでフラットな風景。どこにでもあるようでどこにもない不思議な感覚。②平面に溶け込んだ立体。騙し絵を見せられているような不安感。二人の作品が並ぶことで、少しホッとする。

E-019【清水大
ダリと黒田硫黄の奇跡的な邂逅。有機的マシンと化した自然のダイナミズムに、人為の全ては呑みこまれてしまう。

E-020【重盛守道】
作者とともにエジプトなど世界中を旅した人形が、写真やフライト・チケットと共に展示されている。これらを同時に知ることによって、人形の付加価値が高められる。人形に込められた一回性のアウラ