キューティーハニー前夜祭

庵野監督目当てで行ってきました。庵野秀明安野モヨコ夫妻のお惚気トークが楽しかったです。表現者同士の夫婦には憧れますね。


サトエリの演技にはさほど期待していなかったのですが、観てみたらなかなかカッ飛んでいて、よかったです。頭空っぽなOLハニー役もドスの効いたキューティーハニー役、どちらも大げさすぎるくらいの過剰な演技が逆にアニメ出身の庵野監督の演出にマッチしていると感じました。サトエリはかなりの読書家で、暇さえあれば文章を書いているそうです。どういうものを書くのか、興味あります。そういえば庵野監督の実写デビュー作『ラブ&ポップ』のヒロイン役を演じた三輪明日美は自ら映画のプロデュースなども手がけていますし、前作『式日』のヒロイン役を演じた藤谷文子は、原作を手がけています。庵野監督は、クリエイティブ志向の高い女優を起用する傾向にあるのかもしれません。


実は今年になってからケーブルテレビで『新世紀エヴァンゲリオン』が放映されていましたもので放映されなかった映画版もレンタルで観て今更になってようやっと全部観終えまして、今回のイベントで庵野監督作品の映画は全て観たということになります。


そこで全体的に感じたのは、どれもがいい作品ではあったものの、どうにもラストがぐだぐだになってしまう傾向にあるようだということです。ラストに到るまでの流れが素晴らしいだけに、どうしてもその辺りがひっかかるのですが、多分それは監督の作品を終わらせてしまうことに躊躇する姿勢があるのかもしれません。いわばそれはオタク気質と言い換えてもいいものでしょう。エヴァの主人公と同じ名前を持つ社会学者・宮台真司の言葉じゃありませんが、終わりなき日常を生きることからの逃避を目的として映像作品を作り続けてきたというような独白を『式日』の登場人物であるところの監督が言いますが、それこそまさに庵野監督自身が抱えてきた心の葛藤を如実に表したものだと考えれば、いつまでも可能な限り自分の生み出した創作世界と戯れながら生きていくことこそが創作者の精神を安定させるものであり、それを自らの手によって終わらせなければならないことは断腸の思いということなのかもしれません。


他にも色々と書きたいことはあるので、そのうちまた追加します。