B'z『juice』レビュー

VERMILLION RECORDS、二〇〇〇年

juice

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指遣いや美声を駆使してファンを魅了するミュージシャンはセックス・シンボルになりやすいが、彼らはデビューから二十年を超えた今も人気に陰りがない。作曲兼ギターの松本孝弘は、もともとTMNのバックなどで活躍していたこともあってかデビュー当時は服装も音楽もテクノ風だったが、次第に松本の好むハードロック路線に突入。作詞兼ヴォーカルの稲葉浩志が、数学教員の勉強とともにボイストレーニングを受けていたところ松本にスカウトされたのは、声質がハードロック向きだったからだろう。稲葉はルックスも良いことから椎名へきるなど女性芸能人にもファンが多い。作詞能力も高いことから、知性の果てにローマ的肉体美に行き着いたニーチェや三島に通じる執念さえ感じさせる。その強靭な思想は喉を守るため真夏でも一切エアコンを使わない稲葉のライフスタイルにも貫かれ、たぎる汗を熱いジュースに見立てるこの曲はイカ臭いオスの絞り汁で白濁している。(400字)

※批評誌『新文学04 現代文化のセクシュアリティ原発事故へのアクション』寄稿レビューと同じです。
松平耕一編(主催者ブログ:文芸空間
価格 :¥1,050
単行本:A5版、256ページ
出版社:文芸空間社(バックナンバー通販:文芸空間社購買部 )
発売日:2011/12/31
ネット通販:とらのあなWebSite
店舗販売:新宿 模索舎/阿佐ヶ谷 古書コンコ堂/ジュンク堂書店 大阪本店/全国 とらのあな
2012/5/6「第十四回文学フリマ」オ-41文芸空間社ブースにて販売(終了後、渋家にて交流会あり)