清水義範『国語入試問題必勝法』レビュー
- 作者: 清水義範
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/10/08
- メディア: 文庫
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表題作はオチのあるフィクションだけれど、あなどることなかれ。簡単に国語で点をとれるメソッドは事実。それを参考にして東京都の高校入試問題を、本文を読まずにテクニックだけで解いてみたら、本当に満点だった。
・長文レビュー(400字)
短編集なので他にも作品があるけれど、いま手元に現物がないので表題作についてのみ書く。国語の苦手な受験生のために家庭教師が、「本文を読まずに満点をとれる」という、驚きの必勝法を伝授する話。その結果、大変なことになってしまうという、オチのあるフィクションだけれど、あなどることなかれ。簡単に国語で点をとれるメソッドは事実。それを参考にして東京都の高校入試問題を、本文を読まずにテクニックだけで解いてみたら、本当に満点だった。どうしてそんなことができるかと言うと、国語で文章を読んで答える問題というのは、作者本人の考えではなく出題者の読解によるものだから。そうすると本文など読まずとも、出題者の意図さえ汲むことができれば、点数はとれてしまうわけである。ちなみにこの作品集は吉川英治文学新人賞受賞作とのことで、丸谷才一が解説を書いていたりするのも見どころ。名作小説を全く違う作品にリメイクする「パスティーシュ」を得意とする著者の国語力は、本当に素晴らしいものだと感服する。
※書評でつながる読書コミュニティ『本が好き!』に書いたのと同じものです。