秋葉原事件で明らかになった「不安定な日本の平和」

派遣問題が云々かんぬんで非モテの恨みがうんたらかんたらにして犯人の成長過程がどうたらこうたらとネットやマスコミで色んなことが言われていますが、そこを突いても意味があるとは思えません。そもそも掲示板に犯行予告が書かれた時点では誰も見向きもしなかったくせに、本当に事件を起こした途端に手の平を返したかのように寄ってたかって話題にするなんて変じゃないですか? 自分もブログに書いておきながら言うのも何ですがw

兎に角あんまり犯人をいい気にさせるべきじゃないと思うんですよね。話し相手がほしくても誰も相手にしてくれず一人で悩んでいる人間なんて世の中には幾らでもいるはずです。しかし殆どの人は、だからといって人を殺したりはしません。当たり前のことです。世間の荒波に揉まれて心を病んでしまった人が自腹を切ってカウンセリングを受けたり、汗水垂らして働く寂しい大人がキャバクラやホストクラブで大枚叩いたり、皆そうやってどうにかこうにか孤独をやり過ごしている。

ところが最も世間に憎まれるべきはずの殺人者はというと、労役もせず血税で生かされながら、一切の金も払わずに警察や弁護士や専門医に胸のうちをぶちまけることができる。マスコミや有名人は、彼がまるで歴史的スターででもあるかのように、連日もてはやす。人に迷惑をかけず、ただひたすら真面目に精一杯生きている多くの人々のことは、歯牙にもかけないというのに。

そんなことより僕が気になっているのは、日本の都市部における危機管理能力の低さです。結局のところ安全対策さえしっかりしていれば事件は起こせないわけで。ネット上の犯罪予告に気をとられてばかりいると本丸を見失うんじゃないかと思っていたら、昨日とうとう警察官が数人刺殺されるなんて模倣犯も出ました。治安がいいという幻想のせいなのか、あまりにも警察官が脆弱すぎませんかね。自分の身も守れないのに人助けなんて出来るんでしょうか。

秋葉原事件はテロだ」なんて意見は国家権力が素人にしてやられた言い訳のようにしか聞こえないのです。誰もが安全地帯だと信じていた歩行者天国の平和なんて、実は何の根拠もなかった。平気でトラックが突っ込める場所が安全なわけありませんよね。洞爺湖サミットの準備で都内の警備が手薄だったりするのかなとも思いましたが、実際のところどうなんでしょう。

高所得者層は厳重なセキュリティに守られているという言説もあるようですが、僕自身が似非エンジニアとして出入りしてみた限りでは、官公庁や大企業のセキュリティなんて呆れるほどに低かったりします。大体、孫請けで仕事をしている僕が何処の誰なのか本当のところは受付の警備員ですら知らないわけで。あんなんでよく平気だなあと思いますよ。