ショートショート『ひなまつりエロス』

「リアルライブ アダルト」に掲載されています。※18禁 http://bit.ly/dU6IS2

 ヒナちゃんとダイリくんは同棲中のカップル。
 けれども最近ちょっと倦怠期気味で。

 そんなある日のこと。
 ダイリくんがリビングで探し物をしている。
 おやつに食べようと思っていたヒナあられが見つからないのだ。

「ダイちゃん、おっおは、おはよ〜」
 昼寝していたヒナちゃんが寝室から出てきた。

「もう夕方だぜ。ところでヒナあられ知らないか?」
「食べちゃったナリ〜」

「大好物だって知ってるくせに!」
「ごめんね、でも他に食べるものなくて」

「だったら代わりにヒナっちを喰っちまうぞ?」
「体で返せってことね。いいよ、食べて食べて!」

「いや、そんな肉食系で迫られたら、萎えちゃうから」
「やっぱりな〜。流行りの草食系男子だもんね〜」

「そんなことよりお腹が空いて死にそうなんだ」
「そういえば寝室に残ってたかも〜?」

「マジかよ。それを先に言ってくれよな」
「見つけたら呼ぶナリね〜」
「おう」

「あったよ〜」
「どれどれ。何だよ電気も付けないで」
「らめぇ〜、恥ずかしいナリ〜!」

 明るくなった寝室には、ヒナちゃんが立っていた。
 一糸まとわぬ、ヒナあられもない姿で!

「変だな、ムラムラしてきたぞ。ヒナっちの裸なんぞ見慣れてるのに」
冒険でしょでしょ?

「どんな黒魔術を使った?」
「男の人って、命の危険を感じると、子孫を残そうとするナリ〜」

「俺って今、死にかけてんの?」
「だってお腹がペコペコなんでそ?」

「そういうことか。わかった、お前を喰わせろ!」
「食べて食べて!」

「ワンワン!」
「ニャ〜ニャ〜!」

 男雛(おびな)女雛(めびな)改め、もはやオスとメス。

 ピー、ヒャララ〜!
 トントト、トトトン!
 ヒャラ、ルリラ〜!

 エキゾチックなBGMが、どこからともなく鳴りだした。
 ヒナ壇から飛び出した五人囃子の、笛太鼓によるセッションである。

 トントコ、トントン!
 ピュ〜、ハヒフ〜!

 よりファンキーかつスリリングなグルーヴへ。

 ドコスコ、ドコスコ!
 ハフン、ハフハフ!

 さらにスキャンダラスなクライマックスへと。

 ズッコン、バッコン!
 ドクドク、ドッピュン!

 (工藤伸一)