掌篇『屍体の其の下には』

 櫻吹雪を探せども舞い散るはただ血飛沫ばかり。屍体の其の下に埋まっていると語ってくれた友人の幻視を手掛かりに発いてみたらば本当に種子を見つけた。これを育てれば咲くのだろうが何十年かかることやら。花見なる儀式がこんなに大変だとは思いもよらなかった。屍体を作るのは簡単だったというのに理不尽きわまりない。仕方なく肴を並べた屍体盛りで花を添えつつ一人酒にて夜を明かした。これが意外に愉しめたゆえ来年も殺ろう。