掌篇『廃業記念日』

 フリーランス仲間の就職が決まったので集まることになった。「就職おめでとう」「めでたくなんてねーよ」「何いってんだ。普通に羨ましいよ。安定した暮らしが出来るようになったんだから」「単なる廃業さ。一人で食ってけなかったって意味じゃ」「まあ、そうとも言えるな」その1年後。「廃業記念日の集い」とやらに呼ばれてみたら、他にも就職者が沢山いた。それ以来かつての仲間から「廃業記念日」の知らせが毎日のように来る。