掌篇『地球の危機』

「やべー、寝ちゃってたよ。今23時28分。後17分しかないというのに、5人を出せって無理だよ」「でも何とかしなくちゃ地球が終ってしまうんだよ。それなのに寝坊なんて無責任にも程があるわ」「別に好きで選ばれたわけじゃないからな。さてどうするか。今二人いるよな。外は既に汚染されていて、通信手段もない」「チャネリングすればいい」「そんなオカルトなこと言われても。まあいい。時間もないから話だけ聞かせてくれ。どうすればいいんだ?」「まず寝るの。そして夢の中で意識を接続する」「起きたばかりなのに出来るわけないだろ」「柔道技で落としてあげるわ」「なるほど仕方ない。やってくれ」「じゃあ行きます。うりゃー」「ひいいいいーい。ガクッ」

「ここが夢の世界か。でもチャネリングする手段を聞き忘れたままだ。どうにもならない」「本当だよね」「お前だれだ?」「3人目さ」「良かった。あと2人」「俺が既に繋がってる奴がいるぜ」「初めまして。3人目なりー」「どうも。もしや君も誰か連れてきてないか?」「もちろんなり」「それは助かった。声を聴かせてくれ」「スイミンろぼデス。コンゴトモヨロシク」「ロボットってありなの?」「セイカクニハあんどろいどデス」「アンドロイドも夢を視るって本当なんだな。それなら大丈夫かな」「ノウニハイリコンダダケデス」「でも5人そろったことに違いはない。大丈夫だろう」「デモボク、キミヲオトシタ2リメトオナジダヨ」「足りてないわけか。くそ!」「これで地球は終わり。残念だったな」「貴様が悪の根源か。でも貴様を入れて5人だろ?」「そうだな。運が良かったね」(了)